上肢(肩、肘、手など)

バーナー症候群

高林 孝光
監修者 高林 孝光
バーナー症候群

ラグビーのタックル時やアメリカンフットボールの接触プレー、柔道やレスリングなどのコンタクトスポーツの最中、首から肩、そして腕にかけて「ピキーン!」と電気が走るような激しい痺れや焼けるような痛みが走り、「一瞬、腕がまったく動かなくなった」「これって首のヘルニアや重大な神経損傷なのだろうか」と恐怖心を抱いていませんか?整形外科で「首の神経が引き伸ばされたのでしょう。しばらく安静にしてください」と言われたものの、練習を再開するとまた電気が走るような痛みが再発し、恐怖で思い切ったコンタクトプレーができなくなっているアスリートやその保護者の方も少なくありません。

アスリートゴリラ鍼灸接骨院には、他の治療院や病院で「時間が経てば治る」「安静にするしかない」と片付けられ、電気治療やマッサージを受けても一向に痺れや痛みが改善しなかったラグビー選手や格闘家、アスリートたちが月に約3人ほど来院しています。そのほとんどの人が、痛みや痺れが出る「首や腕」だけに目を向けており、根本的な原因である「骨盤の後傾から始まる上半身の運動制限(首への過剰なストレス集中)」を見落としていました。実際に、どこに行っても治らない重度のバーナー症候群を抱えて当院に駆け込んできた選手が、患部だけでなく上半身と下半身の連動や深層筋を徹底的に整えた結果、見事に痛みを克服し、その後にチームを勝利へと導いて喜びの報告に来てくれたり。「もう怖くてコンタクトプレーができないかもしれない」と絶望していたアスリートたちが最高の笑顔を取り戻す姿を何度も見てきました。

アスリートゴリラ鍼灸接骨院は、医師とは違う視点から体の問題を解決する「運動機能評論家」として日本で最初にメディアで認められました。フジテレビ系列「ホンマでっか⁉TV」には運動機能評論家として7回出演しています。アスリートがケガをした際に「アスリートのケガに詳しい専門家」としてテレビ東京系列「追跡LIVE!SPORTSウォッチャー」で医師とは違う視点からの解説が話題になりました。産経新聞「サクラス」では健康コーナーの連載を受け持っています。体のメカニズムに関連する著書には「1日7秒手を回しなさい!」(ダイヤモンド社)、「足が速くなる解剖図鑑」(エクスナレッジ)など20冊以上あり、運動機能の専門家として多くのメディアで紹介されています。

あなたの「昨日までの治療」は変えられませんが、「今日からの治療」は変えられます。もう、いつまた激痛が走るかという恐怖に怯えながら練習を続ける生活を終わりにしませんか?バーナー症候群の痛みと痺れを一日も早く解消し、再び最高のパフォーマンスが発揮できるようにしていきましょう。

バーナー症候群(頸部神経過伸展症候群)とは

バーナー症候群(Burner syndrome)とは、別名「頸部神経過伸展症候群」と呼ばれ、スポーツ中の強い接触や頭部の急激な傾きによって、首から肩、腕にかけて走行する「腕神経叢(わんしんけいそう)」や頸部神経根が引き伸ばされたり(牽引)、圧迫されたりすることで発生するスポーツ障害です。まるで火傷(バーン)したような焼けるような激しい痛みや電撃痛、痺れが走ることからこの名前がついています。

バーナー症候群を分かりやすく例えると、「首のところの神経が一瞬ムチのように引っ張られて、腕に電気が走った状態です」や「火傷みたいなヒリっとした痛みが走る神経の打撲みたいなものです」とイメージしてください。

バーナー症候群の症状

電撃痛・焼けるような痛み

タックルなどの衝撃の瞬間、首から肩、腕、指先にかけてピキーンと電気が走るような激痛や焼けるような痛みが走る。

一過性の筋力低下・脱力感

受傷直後、腕や手に力が入らなくなり、物を持てない、腕が上がらないといった脱力感が生じる(数分〜数時間で回復することが多いですが、繰り返すと遷延します)。

痺れ・感覚障害

肩から指先にかけてピリピリとした痺れや、触感が分かりにくい感覚障害が残る。

首の可動域制限

首を特定の方向(特に患側とは反対側への側屈や回旋)に倒すと痛みが誘発される。

バーナー症候群の受傷機転による分類

バーナー症候群の受傷機転(メカニズム)についてまとめてみました。

牽引型(最も多いタイプ)

首が強制的に一方へ激しく倒され(側屈)、同時に肩が下方に押し下げられることで、反対側の首〜腕神経叢が強力に引き伸ばされて損傷するメカニズム。ラグビーのタックルなどで最も多く見られます。

直接圧迫型

相手の肩やヘルメットなどが首の側面に直接強く衝突し、神経根や腕神経叢が圧迫されて発生するメカニズム。

神経根圧迫型

首を後方に反らす(伸展)と同時に同側へ傾ける(側屈)ことで、頸椎の椎間孔が狭くなり、そこを通る神経根が挟み込まれて発生するメカニズム。

バーナー症候群の特徴(グレード1〜3)

グレード1(軽度)

痺れや痛みが数秒から数分で自然に消失し、筋力低下を伴わない状態。数日以内の復帰が可能なケースが多いですが、根本原因を放置すると再発します。

グレード2(中等度)

痺れや痛みが数日から数週間持続し、一時的な筋力低下(腕に力が入りにくい等)を伴う状態。慎重な評価とリハビリが必要です。

グレード3(重度)

筋力低下や痺れが数週間から数ヶ月にわたって遷延し、筋肉の萎縮や麻痺の兆候が見られる状態。画像診断(MRI等)による精密検査が必須であり、医師との連携が必要となるケースです。

※当院ではグレード1・2のバーナー症候群を主な対象としています。グレード3は医師と提携しています。

バーナー症候群のほとんどの原因は「神経の損傷」である

バーナー症候群の直接的な引き金となるのは「神経の損傷」です。
ただ、なぜ同じタックルを受けても、バーナー症候群になる選手とならない選手がいるのでしょうか。その根本原因は、首まわりの局部的な問題だけでなく、「下半身の土台から上半身の肩甲帯に至る運動連鎖の崩れ」から起こる首の位置の変化にあります。そのメカニズムについて順番に解説します。

太ももの裏(ハムストリングス)が短縮すると骨盤が後傾する

日々の激しい練習やセルフケア不足により、太ももの裏にある筋肉「ハムストリングス」が硬く短縮すると、骨盤が下から後ろへ引っ張られ、後方へ倒れてしまいます。これを「骨盤後傾」と言います。この骨盤の倒れ込みが、全身の運動連鎖を狂わせるすべての発端となります。当院に来院するコンタクトスポーツの選手たちも、立位体前屈で手のひらが床にピタッと着かないようなハムストリングスの強い短縮を抱えているケースがほとんどです。

骨盤が後傾すると上半身が猫背、アゴ出し、巻き肩になる

骨盤が後ろに倒れて下半身の土台が崩れると、身体はバランスを保とうとして背中全体を丸め、頭部を前方に突き出す「アゴ出し」、そして両肩が内側に入り込む「巻き肩」へと移行します。この上半身の複合的な歪みが、首や肩甲骨の正常なアライメントが大きく乱れます。

猫背、アゴ出し、巻き肩になると肩関節(肩甲帯)に運動制限が起こる

頭の位置がアゴ出しで変わり首の位置の変化が現れます。さらに、上半身が猫背や巻き肩になると、肩甲骨を支える胸郭や肩関節(肩甲帯)の可動域に大きな制限が起きます。その結果、衝撃を吸収・分散させるための「肩甲骨のバネ(上方回旋や下方沈降の動き)」が失われます。

肩関節(肩甲帯)に運動制限が起こると首に負担が増えます。

肩甲骨や胸郭のクッション機能が機能しなくなることで、コンタクト時の衝撃逃がし口を失ったエネルギーがすべてダイレクトに「首(頸椎)」やその周辺の神経へと集中します。その結果、少しの衝撃でも神経が引き伸ばされやすくなり、バーナー症候群を繰り返す体になってしまいます。

※著書「しゃがめない人は不健康になる」(自由国民社)、「足が速くなる解剖図鑑」(エクスナレッジ)参照

バーナー症候群のチェック方法

バーナー症候群のチェック方法についてまとめてみました。

スパーリングテスト

患者に座位または立位で頭部を痛む側へ傾け(側屈)、その状態で頭部の上から軽く下方に圧迫を加えます。このとき、首から腕にかけて電撃痛や痺れが再現・増強する場合は、神経根の圧迫やバーナー症候群の強い疑いがあります

※強い痛みが出る場合があるため、無理に行わないでください。

牽引テスト

首を反対側に軽く側屈させ、神経が引き伸ばされたときに特有の痺れや痛みが走るかを確認します。

バーナー症候群になりやすいスポーツ、職業一覧

バーナー症候群になりやすいスポーツ、職業一覧についてまとめてみました。

バーナー症候群になりやすいスポーツ一覧

  • ラグビー:タックルやヒットの際、頭部が横に強く倒されることで頻発する代表的なコンタクトスポーツ。
  • アメリカンフットボール:激しいブロックやタックル、ヘルメット同士の衝突による衝撃。当院に来院するXリーグの助っ人外国人の選手もこれで苦しみ一緒に頑張って克服した経験があります。
  • 柔道・レスリング・総合格闘技(MMA)・プロレスラー:技を掛け合う際の首への強い負荷や、マットへの激しい衝撃。当院に来院する「RIZIN」の選手もこれで苦しみ一緒に頑張って克服した経験があります。
  • アイスホッケー・ラクロス:激しいボディコンタクトやボードへの衝突。

バーナー症候群になりやすい職業一覧

  • 格闘技トレーナー:常に首や肩に強い衝撃を受ける職業。
  • 重労働・建設作業員:肩に重いものを担ぐ、または首を不自然に固定する作業が長時間続く環境。
  • デスクワーカー(補助的要因):日常的な猫背・骨盤後傾が定着し、首や肩の深層筋が常に緊張しているベースを作る原因となります。

バーナー症候群を改善するために特に注目すべき神経・筋肉

バーナー症候群を根本から改善・再発防止するためには、痛みの直接の原因となる神経の走行や、表層の筋肉だけでなく、首や肩甲骨を支える深層の筋肉へのアプローチが不可欠です。

神経(頸部神経叢、腕神経叢)

首の横から肩、腕にかけて伸びる神経の束です。強い牽引や圧迫によってダメージを受けたこの神経組織の血流を改善し、過敏になった状態を鎮静化させることが回復への大前提となります。

僧帽筋、脊柱起立筋(触れる筋肉)

首から背中にかけて広がり、頭部を支えたり姿勢を保持したりする浅層の大きな筋肉です。コンタクトの衝撃や猫背姿勢によって過緊張を起こしやすいため、まずはここを緩めて緊張をリセットします。

肩甲挙筋、板状筋(触れない筋肉)

首の深部に位置し、肩甲骨を上方へ引き上げたり、首を回旋・側屈させたりする深層筋です。通常のマッサージでは届かないこの深層筋の硬さが、神経の通り道を圧迫し、治りにくい痺れを引き起こす最大の原因となります。ここに正確にアプローチできるかどうかが回復の鍵となります。

当院がバーナー症候群を治療するために行っていること

当院がバーナー症候群を治療するために行っていることは、「電気療法」と「鍼治療」です。痛む首だけに電気を当てるのではなく、全身の運動連鎖と深層筋の機能を蘇らせる専門的アプローチを行います。

電気療法

当院が電気療法を行う目的は「神経痛の鎮痛」と「筋肉の緊張緩和」と「血流促進」です。

鎮痛と組織修復

微弱電流やハイボルト電流などを使用し、神経根周辺や過緊張を起こした筋肉の微細な炎症を鎮め、回復を促します。伊藤超短波やテクノリンクの電気療法講師を務めた実績に基づき、最適な機器と出力でアプローチします。

深層筋の緊張緩和

触れない筋肉(肩甲挙筋や板状筋など)の深部緊張を取り除き、首にかかる物理的なストレスを根本から軽減します。

鍼治療

当院の鍼治療の目的は「血流促進による神経修復力の最適化」です。 損傷した神経や硬直した深層筋は、血流が滞っていると回復に必要な栄養が十分に届きません。鍼刺激による血管拡張作用、深層筋の強力な緊張緩和、自律神経の調整を通じて、身体が本来持っている回復メカニズムを極限まで高めます。

※首や肩周りへの鍼治療は慎重に行いますが、痛みや響きが苦手な方は事前にお知らせください。

バーナー症候群に関するよくある質問

バーナー症候群になったら、スポーツや練習は完全に休まないと治りませんか?

症状の度合い(グレード)によりますが、ただ「完全安静にして休む」だけでは、根本原因である骨盤の後傾や猫背、そして上半身の運動連鎖の崩れが解決されないため、練習を再開した途端に再発することがほとんどです。当院では、状態に応じた適切なアプローチを行いながら、早期の安全な競技復帰を全力でサポートします。

首のヘルニアや頸椎の大きな病気と何が違いますか?

バーナー症候群は、主にスポーツ中の強い衝撃や牽引によって一時的に神経がダメージを受ける一過性の病態です(数分〜数日、または数週間で改善傾向に向かいます)。ただし、症状が長引く場合や繰り返す場合は、頸椎ヘルニア等との鑑別が重要になるため、必要に応じて専門医と連携しながら正確な判断を行います。

なぜ首が痛いのに、骨盤や下半身まで治療するのですか?

バーナー症候群の本当の原因は「首だけ」にあるのではなく、骨盤の後傾から始まる猫背や巻き肩、そして肩甲骨の可動制限にあります。全身の連動が狂ったままでは首に負担がかかり続けるため、下半身から全身を整える必要があります。特に頭が前に出ているアゴ出しの方には、タックルは全身運動と強く意識をしてもらいたいです。

骨盤の後傾を整えるストレッチは、雪印メグミルク「かんたん骨体操」でも動画になっていますのでご覧になってください。

ほねつぎのプロ高林先生直伝!5秒×2セットで、毎日骨コツ!かんたん骨体操|骨の健康応援!骨ちょっといい話|雪印メグミルク株式会社

何度も電気が走るような痺れが繰り返されるのですが、本当に良くなりますか?

繰り返す方の多くは、「痛む場所=原因」と思い込み、アプローチが間違っていたケースがほとんどです。原因を正しく見極め、運動連鎖と深層筋にアプローチすれば、長年悩んでいた症状でも劇的に改善への道が開けます。再び怖がらずにコンタクトプレーができる身体を一緒に取り戻しましょう!

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高林 孝光
執筆者 高林 孝光

アスリートゴリラ鍼灸接骨院院長。1978年東京都生まれ。
はり師・きゅう師・柔道整復師の資格をもつ。「痛みには必ず原因がある」の治療理念のもと、延べ10万人以上を施術。バレーボールのJOCジュニアオリンピックカップ東京代表トレーナー、車椅子ソフトボール日本代表のチーフトレーナーを務めるなど多くのアスリートの治療実績をもつ。アスリートに最大限のパフォーマンスを発揮させる「運動機能評論家」。体調に不安を抱える人のほとんどがしゃがんだ時にかかとが浮いてしまう「かかと浮き現象」を日本で初めて発見。雪印メグミルクの「かんたん骨(コツ)体操」の考案・指導者。産経新聞「サクラス」の健康情報の連載記事監修。よみうりカルチャー北千住講師。主な著書に「しゃがめない人は不健康になる」(自由国民社)、「足が速くなる解剖図鑑」(エクスナレッジ)、「身長は伸びる」(自由国民社)などがある。

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