下肢(股、膝、足など)

鵞足炎(鵞足滑液包炎)

高林 孝光
監修者 高林 孝光
鵞足炎(鵞足滑液包炎)

「走り出してしばらくすると、膝の内側だけがズキズキ痛む」「休めば少しマシになるけれど、また走ると同じ場所が必ず痛くなる」そんな違和感を抱えたまま走っていませんか?

その膝の内側の痛みは、「鵞足炎」という障害が原因かもしれません。
結論からお伝えすると鵞足炎は、「膝だけ診ても治りません」。なぜなら、走るのは「全身運動」だからです。

アスリートゴリラ鍼灸接骨院には、整形外科で「膝」だけを画像診断(レントゲン、MRI、CT)して診ても治らなかった選手が年間約55人以上来院しています。そのすべての選手(100%)が膝以外の全身のどこかに必ず運動機能の問題を抱えていました。鵞足炎で痛いのは「膝の内側」ですが、鵞足炎の痛みの原因は「膝以外」にあります。

アスリートゴリラ鍼灸接骨院は、医師とは違う視点から体の問題を解決する「運動機能評論家」として日本で初めてメディアで認められました。大谷翔平選手がケガをした際に「アスリートのケガに詳しい専門家」としてテレビ東京系列「追跡LIVE!SPORTSウォッチャー」で医師とは違う視点からの解説が話題になりました。走り方については「足が速くなる解剖図鑑」(エクスナレッジ)を出版していて医師とは違う視点を持って執筆したので4回増刷された実績があります。ひざ痛の本を2冊出版しています。よみうりカルチャーセンターでの「ひざ痛講座」は読売新聞にも掲載されました。

あなたの「昨日までの治療」は変えられませんが「今日からの治療」は変えられます。鵞足炎の悩みを解消して試合で最高のパフォーマンスが発揮出来るようにしていきましょう。

鵞足炎(鵞足滑液包炎)とは

鵞足炎とは、膝の内側(脛骨内側上端部の鵞足部)に痛みや違和感を伴う慢性的な炎症です。

鵞足滑液包炎と呼ばれる場合もあります。

鵞足とは

鵞足とは、膝の内側にある、縫工筋、薄筋、半腱様筋という3つの筋肉の腱が脛骨(すねの骨)に集まって付着している部位を指します。この形状が鳥の足に似ていることから「鵞足」と名付けられました。

鵞足炎とは

鵞足炎とは、膝の内側やや下あたりの「鵞足」と呼ばれる部分の腱と、その周囲の滑液包に起きた炎症を指します。ランナーに多いことから、広い意味で「ランナー膝の一種」と説明されることがあります。

当院に来院する鵞足炎のスポーツ選手の競技の7割は長距離走の競技なので、ランナー膝と言っても過言ではないと思います。

鵞足炎の特徴

鵞足炎は、膝の少し内側かつ下のあたりに痛みが出るのが特徴です。

膝そのものの関節の中が痛いというよりも、膝の内側の少し下を指で押すとピンポイントで痛がるのも鵞足炎の特徴です。階段の上り下りや立ち上がりでズキッとすることもあります。

当院でも、必ず鵞足炎の方は、圧痛を確認するのですがとても痛がります。

鵞足炎の症状

  • 階段の上り下りで痛みが強くなる。
  • 走り出しや止まる瞬間、方向転換でズキッとする。
  • 椅子から立ち上がる、しゃがむ、正座から立ち上がるなどで痛む
  • 長時間歩いた後や運動後にじわじわ痛みが増す。
  • 押さえると「チクッ」「ズキッ」とする圧痛がはっきりある。
  • 運動後に少し腫れぼったい、熱を持った感じがすることがある。
  • 動かさなければそれほど痛くないが、使うと痛みをぶり返す
  • 朝起きた直後より、動いたあとの方が痛みが出やすいことが多い など

上記のような症状が当てはまる方はアスリートゴリラ鍼灸接骨院に来院して下さい。

鵞足炎の患者さんから「もっと、早く来院すればよかった」と毎回笑顔で言われています。

鵞足炎の3つの原因

鵞足炎は、膝の内側にある「鵞足(がそく)」と呼ばれる部分に炎症が起こる症状です。主な原因は複数ありますが、その中心となるのが内側広筋の筋力低下です。

ここでは、鵞足炎が起こる流れを「3つの原因」に分けて解説します。

内側広筋の筋力低下

鵞足炎の根本的な原因は、太ももの内側にある筋肉「内側広筋」の筋力低下です。

この筋肉が弱くなることで、次の2つの問題が起こります。

  • 縫工筋・薄筋・半腱様筋への負担が増える
  • 膝関節が不安定になり、筋肉や腱が引っ張られたり擦れたりする

多くの鵞足炎は、これらが重なって発生します。

では、なぜ内側広筋が弱くなるのでしょうか?

内側広筋の筋力低下は、以下の3つのステップで起こります。

  1. ハムストリングス(太もも裏)の短縮
    太ももの裏の筋肉(ハムストリングス)が疲労によって硬くなると、筋肉が縮んだ状態になります。この状態になると、骨盤が後ろに傾きやすくなります(骨盤後傾)。
  2. 骨盤の後傾
    骨盤が後ろに傾くと、姿勢が崩れ、膝をしっかり伸ばすことが難しくなります。
  3. 膝を伸ばしきれなくなる
    膝が完全に伸びなくなると、太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)の中でも、特に重要な「内側広筋」がうまく働かなくなります。内側広筋は、膝を最後まで伸ばす(残り10〜20°)ときに最も強く働く筋肉です。そのため、膝が伸びきらない状態が続くと、この筋肉は徐々に弱くなってしまいます。

このような流れから、鵞足炎になりやすい人には共通点があります。それは、膝が軽く曲がったままの状態になっていることです。

実際に、鵞足炎の患者さんには次のような特徴が見られます。

  • 仰向けで寝ると、膝の裏にすき間ができる
  • 太ももの内側の筋力が弱い
  • 立ったときに膝が安定しない

この状態では、膝関節を支える力が弱くなり、靭帯や関節包もゆるみやすくなります。その結果、関節が「グラグラ」と不安定になり、鵞足部分に負担が集中しやすくなります。

縫工筋、薄筋、半腱様筋の負荷増大

内側広筋が弱くなると、本来その筋肉が担う役割を、他の筋肉が補う必要が出てきます。特に影響を受けるのが、次の3つの筋肉です。

  • 縫工筋
  • 薄筋
  • 半腱様筋

これらはすべて鵞足に付着している筋肉です。

内側広筋の働きが弱くなると、これらの筋肉にかかる負担が増加し、使いすぎ(オーバーユース)の状態になります。その結果、鵞足部分にストレスが蓄積し、炎症が起こりやすくなります。

膝の不安定性による牽引と摩擦

内側広筋の筋力低下によるもう一つの問題が、膝関節の不安定性です。

膝を支える力が弱くなることで、関節が安定せず、次のようなことが起こります。

  • 動作の終わりで急激な負荷がかかる
  • 小さな段差やひねりで腱や靭帯を痛めやすくなる
  • 筋肉や腱が繰り返し引っ張られる

さらに、骨盤が後傾している状態では、鵞足に付着する筋肉(縫工筋・薄筋・半腱様筋)が後ろ方向に引っ張られます。

この状態で動作を繰り返すと、鵞足に強い牽引ストレスがかかり、周辺組織との摩擦が増え、負担が蓄積していきます。その結果、炎症や痛みが生じ、鵞足炎を発症するのです。

鵞足炎のチェック方法

鵞足炎のチェック方法をまとめてみました。鵞足炎のチェック方法には2つあります。鵞足部の「圧痛」と膝のお皿の上の「シワ」の確認です。

鵞足部の「圧痛」を確認する

鵞足炎は、膝の少し内側かつ下のあたりを指で押すとピンポイントで痛がるのがもっとも簡単な鵞足炎のチェック方法です。

ひざのお皿の上の内側のシワを確認する

膝の膝蓋骨(ひざのお皿)の上縁内側部の上の皮膚にシワがないかをチェックしてみてください。シワがある場合は、膝が曲がっていて内側広筋が弱っている証拠です。

鵞足の縫工筋、薄筋、半腱様筋の中、縫工筋だけは内側広筋が内側から支えています。縫工筋は、長くて細く、サッカーやランニングなどで酷使されやすいという特徴があり、鵞足部にねじれや引っ張りを生じさせやすいので縫工筋が一番原因になりやすいです。

それぞれご自身で試してもわからない場合は当院にお越しください。

鵞足にダメージを受けやすい人が鵞足炎になりやすい

鵞足にダメージを受けやすいスポーツと職業をまとめてみました。

鵞足炎になりやすいスポーツ一覧

鵞足炎になりやすいスポーツをまとめてみました。

膝に繰り返し負荷がかかる下記のスポーツで発症しやすいです。

  • 長距離走
  • バスケットボール
  • 水泳(平泳ぎ)
  • バレーボール
  • サッカー など

鵞足炎になりやすい職業一覧

鵞足炎になりやすい職業についてまとめてみました。

長時間の立ち仕事や歩く・走る距離が多い、階段や坂の上り下りが多い、中腰やしゃがむ姿勢を繰り返す職業に発生しやすいです。

  • 介護職、看護師
  • 保育士
  • 調理師、飲食店勤務者
  • 販売業、接客業
  • 配達員、営業回りスタッフ
  • 建設業、現場作業員

鵞足炎を改善するために特に注目すべき筋肉

鵞足炎を改善するために特に注目すべき筋肉についてまとめてみました。

筋肉は本のページのように層をなしているのですが表層にあって触れる筋肉と深層にあって触れない筋肉があります。鵞足炎が改善しない場合は、もんでも、貼っても、塗ってもアプローチ出来ない触れない筋肉が関与していると思って下さい。

ハムストリングス、縫工筋、薄筋、半腱様筋は触れる筋肉です。内側広筋は、触れない筋肉です。

ハムストリングス

ハムストリングスは、太ももの裏側にある筋肉の総称です。骨盤の後傾に関与していて鵞足部が牽引される原因の筋肉です。

縫工筋、薄筋、半腱様筋

縫工筋、薄筋、半腱様筋は、鵞足部についていて繰り返しの負荷やフォーム不良で炎症を起こしやすい筋肉です。

内側広筋

内側広筋は、膝の内側にあって膝関節の安定性に重要で特に膝の内側の支えとして働きます。鵞足の縫工筋の真横にあって膝の内側を支えているのですが大腿四頭筋の大腿直筋の深層にあって触ることが出来ない筋肉です。

当院が鵞足炎を治療するために行っていること

当院が鵞足炎を治療するために行っていることは電気療法と鍼治療です。

電気療法

当院が電気療法を行う目的は「鎮痛効果」と「筋力強化」です。

鎮痛効果

筋肉、腱、滑液包の炎症を抑える目的で使用しています。

当院では、低周波、干渉波、立体動態波、超音波、微弱電流、ハイボルト電流などを使用しています。どうしてこんなにたくさんの種類の電気を完備しているのか。それにはちゃんとした理由があります。

その理由は、筋肉、腱、滑液包の効かせたい場所に適切なタイミングで適切な出力の効果を届けるには、それぞれに適した形状があるからです。鵞足炎のように、アプローチすべき組織が多岐に渡る場合に特に効果を発揮します。

例えば、当院では効果を最大限発揮するために、患者さんに膝関節を動かしていただきながら電気をかけています。なぜなら、膝関節の動作によって電気が届く位置が変わるからです。膝を伸ばした場合、曲げた場合など、膝関節の肢位によって電気の効果が大きく変わるのです。

当院は、医療機器メーカーの伊藤超短波とテクノリンクに電気療法の講師を依頼された経験があります。鵞足炎の痛みを緩和させるための、医療機器を選択する知識や使いこなす技術が当院にはあります。

筋力強化

膝関節を支えるために筋力を鍛える目的で使用しています。

いくら炎症を取り除いても、走りに耐えられる強い筋力が無いと再発するからです。

鵞足炎の選手は痛くて膝の筋トレが出来ません。なので、電気療法で炎症を取り除くのと同時に筋肉を電気療法で動かして筋力を強化していくことが必要です。

アスリートゴリラ鍼灸接骨院は、炎症を取り除くだけでなく「走っても痛くない膝」を作ることも大事にしています。

鍼治療

当院の鍼治療の目的は「血流促進」です。

損傷した組織は血流が改善しないと修復に必要な栄養が届けられないからです。

鵞足部周辺は腱が多く、骨に近い場所で太ももの筋肉の部分ほど「豊富な血流」はありません。

鍼治療は、血流を良くする科学的根拠が確立されています。

鍼治療による血流改善のメカニズムには筋肉の緊張緩和、血管の拡張、自律神経の調整、鎮痛物質の分泌、身体の自然治癒力活性化、酸素供給と老廃物除去があります。

筋肉の緊張緩和

固まった筋肉が血管を圧迫し血流を悪化させるが、鍼で筋肉がほぐれ血流が促進します。

血管の拡張

鍼刺激により血管拡張作用のあるCGRPなどの物質が増加し血管が広がります。

自律神経の調整

鍼刺激により副交感神経が活性化されリラックス状態になり血流が回復します。

鎮痛物質の分泌

鍼刺激によりエンドルフィンやセロトニンなどの鎮痛物質が分泌され血管が拡張されます。

身体の自然治癒力活性化

鍼刺激により身体の回復メカニズムを促進し血流の改善につながります。

酸素供給と老廃物除去

鍼刺激により血流改善し酸素供給が増え、老廃物排出が促進され疲労回復を促します。

鵞足炎に関するよくある質問

鵞足炎に関するよくある質問をまとめてみました。

鵞足炎に効果的なストレッチはなんですか?

鵞足炎に効果的なストレッチは、ハムストリングスのストレッチです。なぜなら、骨盤が後傾すると縫工筋、薄筋、半腱様筋が後ろに引っ張られると鵞足に牽引力が働くからです。

ハムストリングスが疲れて短縮している選手には、当院では「骨盤起こしストレッチ」を指導しています。雪印メグミルク「かんたん骨体操」でも動画になっていますのでご覧になってください。

ほねつぎのプロ高林先生直伝!5秒×2セットで、毎日骨コツ!かんたん骨体操|骨の健康応援!骨ちょっといい話|雪印メグミルク株式会社

鵞足炎はどのくらいで治りますか?

鵞足炎がどのくらいで治るかは個人差がありますが発症から数週間程度です。重症化している場合は1〜2カ月以上の治療期間がかかる場合があります。重症化する前に専門家に相談をして下さい。

鵞足炎の場合、サポーターやテーピングはどうすればいいですか?

鵞足炎の場合、サポーターやテーピングは、「保護と負担軽減」が目的で、痛みをゼロにするというより「働き過ぎないようにする」「同じ場所へのストレスを減らす」目的で行って下さい。

鵞足炎に湿布は効果的ですか?

消炎鎮痛成分入りの湿布は、痛みや炎症を軽くする助けになりますが、関節の奥深くまで炎症を完全に抑えるものではないため、あくまでも補助的な対処になります。

20年以上前は接骨院では、手作りの湿布を患者さんに貼っていました。その経験から光文社の週刊誌「女性自身」で湿布の貼り方の解説を依頼された時に炎症があるところは冷湿布、筋肉を緩めたい場合は温湿布がおすすめですと伝えたところとても反響がありました。

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アスリートゴリラ鍼灸接骨院は、東京都足立区に開業して約20年の鍼灸接骨院です。
これまでに1万2,000人以上もの方々に施術を提供し、オリンピックで活躍するようなスポーツ選手、部活動に励む学生、主婦、ビジネスパーソンなど、多くの人たちの身体の悩みを救ってきました。

当院のノウハウは、多くのメディアで認められ、今では20冊以上を出版し、雑誌や新聞などの200以上の媒体に取り上げられ、テレビ出演や取材依頼、講演依頼など、多方面から引っ張りだこの状態です。

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高林 孝光
執筆者 高林 孝光

アスリートゴリラ鍼灸接骨院院長。1978年東京都生まれ。
はり師・きゅう師・柔道整復師の資格をもつ。「痛みには必ず原因がある」の治療理念のもと、延べ10万人以上を施術。バレーボールのJOCジュニアオリンピックカップ東京代表トレーナー、車椅子ソフトボール日本代表のチーフトレーナーを務めるなど多くのアスリートの治療実績をもつ。アスリートに最大限のパフォーマンスを発揮させる「運動機能評論家」。体調に不安を抱える人のほとんどがしゃがんだ時にかかとが浮いてしまう「かかと浮き現象」を日本で初めて発見。雪印メグミルクの「かんたん骨(コツ)体操」の考案・指導者。産経新聞「サクラス」の健康情報の連載記事監修。よみうりカルチャー北千住講師。主な著書に「しゃがめない人は不健康になる」(自由国民社)、「足が速くなる解剖図鑑」(エクスナレッジ)、「身長は伸びる」(自由国民社)などがある。

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