下肢(股、膝、足など)

有痛性分裂膝蓋骨

高林 孝光
監修者 高林 孝光
有痛性分裂膝蓋骨

有痛性分裂膝蓋骨でお悩みの方へ。私の息子も以前はこの疾患で悩んでいました。

有痛性分裂膝蓋骨のあなたは、競技中に痛くて走れないと悩んでいるのではないでしょうか。

実は、有痛性分裂膝蓋骨でも、痛みの原因を取り除けば、痛みを感じずに楽に走れるようになります。

有痛性分裂膝蓋骨は、かつて先天性と考えられていましたが、それは違います。つまり後天的なものであり、ちゃんとした治療を受ければ痛みは緩和されます。

なぜなら、最近では膝蓋骨が筋肉の牽引によって起こる裂離骨折だと言われているからです。

つまり、有痛性分裂膝蓋骨は、筋肉の牽引が起きてしまう運動機能の問題さえ解決すればいいだけです。

実際にアスリートゴリラ鍼灸接骨院には、病院や整形外科で治療をしても治らなかった年間約30人以上の有痛性分裂膝蓋骨の新患さんが来院します。

有痛性分裂膝蓋骨でスポーツが出来ない子たちには共通している運動機能の問題を抱えていました。簡単に言うならば膝蓋骨(ひざのお皿)が毎日、つねられて痛い運動機能になっているのです。その問題を解決することで、痛みを緩和することは可能です。

しかし、その肝心な運動機能の問題を解消する方法が、なかなか見つからないという声をよく聞きます。

そこで本記事では、多くの有痛性分裂膝蓋骨の子どもたちを救ってきた、当院の経験に基づく実践的な情報をまとめてみました。
このコンテンツを読んでくれた親御さんのお子さんの夢が叶いますように…。

実際に私の息子が分裂膝蓋骨で、過去に有痛性で思うように走れずに悩んでいました。
実際に整形外科に行くなどの対応を取りましたが、「湿布を貼ってください」「安静にしてください」と言われるばかりで、一向に改善する気配がありませんでした。

そんな息子を救うために、私は有痛性分裂膝蓋骨の痛みの原因を研究し、独自の治療方法を確立しました。そして、当院での治療を受けたことによって、痛みが消失し、2025/12/28に行われた第104回全国高校サッカー選手権大会で、国立競技場を行進するまでに至りました。

有痛性分裂膝蓋骨とは

有痛性分裂膝蓋骨とは、通常1つの骨である膝蓋骨(ひざのお皿)が、生まれつき2つ以上に分かれている状態です。この章では有痛性分裂膝蓋骨の基本を紹介します。

分裂膝蓋骨とは何か?

分裂膝蓋骨とは、通常は1つの骨である膝蓋骨(ひざのお皿)が生まれつき2つ以上に分かれている状態を指します。多くの場合、痛いなどの症状はありません。

有痛性分裂膝蓋骨とは何か?

有痛性分裂膝蓋骨は、膝蓋骨(ひざのお皿)の骨が生まれつき複数に分かれており、特に成長期に活発な運動をすることで、その分かれた部分に痛みが生じるスポーツ障害です。

多くの場合、膝の痛み、運動動作で痛みが強くなる、圧痛、腫れ、熱感などの症状があります。

特に成長期のスポーツ選手に多く見られ、分裂部分に痛みが生じるスポーツ障害です。

当院では、有痛性三分裂膝蓋骨まで診た事があります。

分裂膝蓋骨と有痛性分裂膝蓋骨の違い

結論からお伝えすると違いは「痛みが有るか無いか」です。

なぜなら、分裂膝蓋骨は痛みを伴いません。一方、有痛性分裂膝蓋骨は痛みが発生しています。

なので、有痛性分裂膝蓋骨の痛みが消えたら分裂膝蓋骨になります。

有痛性分裂膝蓋骨の症状

有痛性分裂膝蓋骨の症状として以下にまとめました。

  1. 膝の痛み:膝蓋骨の周辺、特に膝蓋骨の外側の上部に痛みを感じることが多い
  2. 運動時の痛み:走る、跳ぶ、階段の上り下りなど、太ももの筋肉を使う動作で痛みが強くなる
  3. 圧痛:分裂した骨の境い目や膝蓋骨を押すと痛む。見た目でポコッと出ている場合が多いです。
  4. 腫れ・熱感:炎症が強い時期には膝に軽い腫れや熱感を生じます。通常は筋肉の方が熱を作るので温かいです。太ももの温度と膝蓋骨の温度が同じなら腫れていて熱を持っています。

有痛性分裂膝蓋骨のほとんどの原因は「筋肉の牽引」である

結論からお伝えすると有痛性分裂膝蓋骨の原因は「筋肉の牽引」です。

しかし、太ももの前面(大腿四頭筋)の筋肉の牽引だけではありません。

なぜなら、骨盤が後傾しないと膝蓋骨に付着する太ももの前面の筋肉(大腿四頭筋)の上への牽引力が働かないからです。骨盤の後傾は、太ももの後面(ハムストリングス)の下への牽引力です。

ひざを前からだけではなく、後ろから見ると骨盤がシーソーのように動いてバランスが崩れるので筋肉の牽引が引き起こるのです。

つまり、筋肉の牽引が生まれる過程は次の2ステップです。

  • 太ももの裏(ハムストリングス)が短縮し骨盤が後傾する
  • 骨盤が後傾によって大腿四頭筋が引っ張られて膝蓋骨に牽引力がかかる

以下にその詳細を説明します。

太ももの裏(ハムストリングス)が短縮すると骨盤が後傾する

有痛性分裂膝蓋骨の患者さんは、ハムストリングスが短縮しています。ハムストリングスが短縮しているかどうかをチェックするのは簡単です。立位体前屈で手のひらが床にピタッと着かない方はハムストリングスが短縮しています。ハムストリングスが短縮すると骨盤が後ろに引っ張られて骨盤後傾になります。

当院に来院する有痛性分裂膝蓋骨の患者さんは100%立位体前屈時に手のひらが床にピタッと着きません。親御さんも口を揃えたかのように身体が硬いと言われます。

骨盤が後傾すると大腿四頭筋が引っ張られて膝蓋骨に牽引力がかかる

骨盤が後傾すると大腿四頭筋が上に引っ張られて膝蓋骨に牽引力が働いて有痛性分裂膝蓋骨になります。

まとめると、痛いのは膝蓋骨ですが痛みの原因は何度も言いますが「筋肉の牽引」です。

有痛性分裂膝蓋骨のチェック方法と合併しやすい疾患

有痛性分裂膝蓋骨はひざのお皿の周辺が痛いので他の傷害と間違わないようにチェック方法を解説していきます。更に、合併しやすい疾患についても説明します。

有痛性分裂膝蓋骨のチェック方法

自宅で画像診断(レントゲン検査、CT検査、MRI検査)は出来ないので自宅でのチェック方法をまとめてみました。

①動作時の痛みの確認

  • 膝の曲げ伸ばし、ジャンプ、階段昇降などの動作時に膝前面に痛みが生じるかチェックして下さい。
  • 当院では膝を曲げてしゃがむ時に膝前面が痛いと言われる患者さんが圧倒的に多い傾向があります。

②圧痛、叩打痛の確認

膝蓋骨の分裂部位を押したり叩いたりした際に、痛みが誘発されるか確認をします。

膝蓋骨の分裂部位はSaupeの分類を参照に確認して下さい。

  • 1型(5%) 膝蓋骨の下端が分裂している
  • 2型(20%) 膝蓋骨の外側が縦方向に分裂している
  • 3型(75%) 膝蓋骨の外側上方が分裂している

運動時の痛みや分裂部位の圧痛、叩打痛が確認されたら専門家に相談をしましょう。

有痛性分裂膝蓋骨に合併しやすい疾患

有痛性分裂膝蓋骨に合併しやすい疾患としては、主にシンディング・ラーセン・ヨハンソン病とオスグッド・シュラッター病が挙げられます。どちらも筋肉の牽引が原因です。

  • シンディング・ラーセン・ヨハンソン病:膝蓋骨の下端に痛みが生じる病気
  • オスグッド・シュラッター病:脛骨粗面に痛みと腫れが生じる病気

有痛性分裂膝蓋骨の痛みだけでも痛いのに他の疾患も合併したら大変です。悩んでいても解決はしません。直ぐにでも専門家に相談して下さい。

膝蓋骨にダメージを受けやすい人が有痛性分裂膝蓋骨になりやすい

有痛性分裂膝蓋骨になりやすいのは、膝蓋骨にダメージを受けやすい人です。有痛性分裂膝蓋骨にダメージを受けやすい人の特徴は次の通りです。

  1. サッカーなどのボールを蹴る動作で大腿四頭筋を繰り返し使うスポーツ
  2. バレーボールのレシーブなどで床に膝蓋骨をぶつける回数が多いスポーツ
  3. バスケットボールなどでジャンプ動作が多いスポーツ

有痛性分裂膝蓋骨になりやすいスポーツ一覧(アスリートゴリラ鍼灸接骨院来院率)

  1. サッカー(55%)
  2. バレーボール(15%)
  3. バスケットボール(10%)
  4. 野球(10%)
  5. 走り高跳び、走り幅跳びなどの陸上競技(10%)

当院では、有痛性分裂膝蓋骨で来院する選手は圧倒的にサッカー選手が多いです。やはり、有痛性分裂膝蓋骨の大腿四頭筋の筋肉の牽引が原因であると推測できます。

更に、大腿四頭筋はキックする筋肉なのでボールを蹴るサッカーは誘発率が高いスポーツです。当院には有痛性分裂膝蓋骨のバレーボール選手も来院しますがレシーブ時に直接ダメージが膝蓋骨に受けやすいのと大腿四頭筋はジャンプの際も使用するので誘発率が高いスポーツと言えます。

身体が硬い方ほど有痛性分裂膝蓋骨になりやすい

当院に来院する有痛性分裂膝蓋骨の選手で、立位体前屈で手のひらが床にピタッと着かない確率は100%です。身体が硬い選手は、大腿四頭筋の筋肉の牽引力がアップするので、有痛性分裂膝蓋骨になりやすい傾向にあると言えます。

有痛性分裂膝蓋骨を改善するために特に注目すべき筋肉

 

有痛性分裂膝蓋骨の痛みを改善させるには膝の前の大腿四頭筋と後ろハムストリングスの筋肉の牽引を緩めるしかありません。

ハムストリングス

ハムストリングスとは、太ももの裏側にある筋肉の総称です。大腿二頭筋、半膜様筋、半腱様筋の3つの筋肉で構成されています。主な役割は、股関節の伸展と膝関節の屈曲です。

大腿四頭筋

大腿四頭筋は、太ももの前にある大きな4つの筋肉(大腿直筋、内側広筋、外側広筋、中間広筋)の集まりです。この筋肉は、膝を伸ばす動作や股関節を曲げる動作にとても重要です。

当院が有痛性分裂膝蓋骨を治療するために行っていること

ハムストリングスの筋肉の牽引を取り除くためのストレッチ指導と大腿四頭筋の筋肉の牽引を取り除くための電気療法です。

ストレッチ指導

ハムストリングスの筋肉の牽引を取り除くために当院では「骨盤起こしストレッチ」を指導しています。雪印メグミルク「かんたん骨体操」でも動画になっていますのでご覧になってください。

ほねつぎのプロ高林先生直伝!5秒×2セットで、毎日骨コツ!かんたん骨体操|骨の健康応援!骨ちょっといい話|雪印メグミルク株式会社

大腿四頭筋のストレッチは筋肉の牽引が働くので当院ではやらないで下さいといっています。

電気療法

有痛性分裂膝蓋骨の筋肉の牽引を取り除くためには、大腿四頭筋とハムストリングスを緩めるのが重要です。筋肉は本のページのように層をなしているのですが触れる筋肉と触れない筋肉があります。結論からお伝えすると大腿四頭筋の中で「中間広筋」だけは大腿直筋の深層にあるので触れることはできません。なので、当院では医療機器の伊藤超短波のES-530、ES-5000、ES-8000やテクノリンクのアストロンを利用して筋肉の牽引を取り除いています。因みに、当院は伊藤超短波とテクノリンクに全国の治療家に電気療法の指導して欲しいと依頼された経験がある電気療法のプロフェッショナル院です。

触れる筋肉

有痛性分裂膝蓋骨の触れる筋肉の牽引には大腿四頭筋の大腿直筋、内側広筋、外側広筋が関与しています。当院では低周波、干渉を利用しています。

  • 低周波:電気刺激で血行を促進し、痛みやコリを和らげる目的で使用します。
  • 干渉波:電気刺激によって、筋肉のマッサージ効果や鎮痛効果の目的で使用します。

触れない筋肉

大腿四頭筋の中で「中間広筋」だけは大腿直筋の深層にあるので触れることはできません。なので、当院ではハイボルトや立体動態波を利用して筋肉の牽引を取り除いています。

  • ハイボルト療法:ハイボルト療法は、高電圧の電気で体の深部にある痛みの原因にアプローチする施術です。
    ※当院では、他院と違い、150V、200V、250Vの三種類のハイボルトを使い分けています。
  • 立体動態波療法:立体動態波療法は、3Dの電流で身体の深部にアプローチする電気刺激療法です。
    ※当院では、他院と違い、立体動態波の医療機器のES530、ES5000、ES8000の3種類を使い分けています。
  • マイクロカレント療法:マイクロカレント療法は、生体電流に近いごく微弱な電流を身体に流し、細胞の修復や回復を促進する治療法です。ほとんど刺激を感じないため、痛みに敏感な方でも安心して受けられます。
    ※当院では、ハイボルトの後に使用して治癒促進を促しています。他院では、手間がかかるので省略される場合が多いのですが、経験的に、このひと手間が予後を左右します。
  • 3DMENS療法:3DMENS療法を一言で説明すると、微弱な電流を立体的に流し、身体の損傷した組織の回復を早める治療法です。
    ※当院では、立体動態波の後に使用して治癒促進を促しています。他院では、手間がかかるので省略される場合が多いのですが、経験的に、このひと手間が予後を左右します。

有痛性分裂膝蓋骨に関するよくある質問

有痛性分裂膝蓋骨のよくある質問をまとめてみました。

有痛性分裂膝蓋骨は成長期以外でも起こりうるのか?

当院には大人の有痛性分裂膝蓋骨の患者さんも来院しています。成長期も成人も原因は同じで筋肉の牽引です。スポーツなどで膝に強い負荷がかかったり、膝を強く打ったり、転んだりして起こる場合があります。

痛みのない分裂膝蓋骨は放置してもよいのか?

分裂膝蓋骨を持っている人の多くは無症状なので基本的に放置しても問題はありません。ハムストリングスのストレッチを習慣にしてもらえば再発する患者さんは0ではないですがほとんどいません。

有痛性分裂膝蓋骨のスポーツ復帰の目安はいつ頃か?

有痛性分裂膝蓋骨の選手には、立位体前屈で手のひらが床にピタッと着いたらスポーツ復帰して下さいと伝えています。なぜなら、手のひらが床にピタッと着けば筋肉の牽引が働かないからです。

有痛性分裂膝蓋骨の再発を防ぐための注意点は何か?

有痛性分裂膝蓋骨の再発は大腿四頭筋とハムストリングスの筋肉の牽引のバランスが崩れた時なのでストレッチを習慣化出来ない選手は注意が必要です。

プレー中に腰を低くすると膝が曲がって、大腿四頭筋の筋肉の牽引が働くので腰を高くしてプレーすると再発を防げます。

筋トレでは、スクワット動作は好ましくないと指導しています。手のひらが床にピタッと着けばスクワット動作も痛くない選手がほとんどですが。

有痛性分裂膝蓋骨がなかなか治らない理由はなんですか?

有痛性分裂膝蓋骨がなかなか治らないのは大腿四頭筋の筋肉の牽引が取れないからです。なぜなら、大腿四頭筋の中の中間広筋が触れない筋肉なので自分では筋肉の牽引が緩められないからです。ストレッチで改善しない場合は、専門家に相談するのがおすすめです。もう、答えは出ているのですから。

有痛性分裂膝蓋骨で痛みが出たらスポーツを休んだ方がいいですか?

有痛性分裂膝蓋骨で専門家に運動機能の問題を解決してもらっていない場合は休んで下さいと伝えています。なぜなら、悪化する場合があるからです。

テーピングはサポーターは使った方がいいですか?

有痛性分裂膝蓋骨の痛みの原因は筋肉の牽引です。テーピングやサポーターで筋肉の牽引が和らぐのであれば使用して下さい。なぜなら、悪化防止になるからです。

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高林 孝光
執筆者 高林 孝光

アスリートゴリラ鍼灸接骨院院長。1978年東京都生まれ。
はり師・きゅう師・柔道整復師の資格をもつ。「痛みには必ず原因がある」の治療理念のもと、延べ10万人以上を施術。バレーボールのJOCジュニアオリンピックカップ東京代表トレーナー、車椅子ソフトボール日本代表のチーフトレーナーを務めるなど多くのアスリートの治療実績をもつ。アスリートに最大限のパフォーマンスを発揮させる「運動機能評論家」。体調に不安を抱える人のほとんどがしゃがんだ時にかかとが浮いてしまう「かかと浮き現象」を日本で初めて発見。雪印メグミルクの「かんたん骨(コツ)体操」の考案・指導者。産経新聞「サクラス」の健康情報の連載記事監修。よみうりカルチャー北千住講師。主な著書に「しゃがめない人は不健康になる」(自由国民社)、「足が速くなる解剖図鑑」(エクスナレッジ)、「身長は伸びる」(自由国民社)などがある。

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