下肢(股、膝、足など)

モートン病

高林 孝光
監修者 高林 孝光
モートン病

「足の指の付け根が、まるで万力で締め付けられるように痛む…。その苦しみ、放っておいてはいけません。」歩くたびにズキンと走る痛みやしびれ。モートン病に悩む多くの方が、「もう普通に歩けないのではないか」という不安を抱えています。

こんにちは。日本初の運動機能評論家として活動しているアスリートゴリラ鍼灸接骨院長の高林孝光です。これまで「ホンマでっか⁉TV」への7回出演や大谷翔平選手のケガの解説などを通じて、アスリートから一般の方まで数多くの身体のトラブルを分析してきました。

実は、モートン病を引き起こす「神経の圧迫」には、ある決定的な原因があります。それは、病院の検査だけでは見落とされがちな「しゃがんだ時にだけ現れる「かかと浮き」」という身体の異常です。

私の著書「しゃがめない人は不健康になる」(自由国民社)の中で、この「かかと浮き」が身体に及ぼす害を日本で初めて指摘しました。かかとをつけてしゃがめない状態こそが、あなたの足裏を「万力」のように締め上げ、モートン病を招いている真犯人なのです。

雪印メグミルク「かんたん骨体操」の考案・指導者としての知見から、なぜモートン病になるのか、そしてどうすればその「万力」から解放されるのか。最新の運動理論に基づいた改善のポイントをお伝えします。

モートン病とは

モートン病は、足の指のつけ根(主に第3・4趾の間)の神経が圧迫されて炎症を起こし、痛みやしびれが出る状態のことを指します。正式には「モートン神経腫」と呼ばれることもあります。

モートン病を万力で例えるなら、足の指のつけ根にある骨が「万力の口金(くちがね)」となり、その間に挟まった神経をギリギリと締め上げている状態です。

本来、神経は骨と骨の間をゆとりを持って通っていますが、幅の狭い靴を履くことは、いわば万力のハンドルを自ら回して隙間をゼロにしているようなもの。そこに歩行による衝撃や体重が加わることで、逃げ場を失った神経は金属板に挟まれた電気コードのように「グニュッ」と押しつぶされてしまいます。

  • ビリっとする激痛:万力で絞められた神経がショートして、火花を散らしている悲鳴です。
  • ジリジリとしたしびれ:常に圧迫され続けたことで、神経がボロボロになり接触不良を起こしているサインです。

つまりモートン病とは、「自分の骨という万力で、一歩踏み出すたびに大切な神経を握りつぶし続けている」という、非常に過酷な状況が足の中で起きているのです。

この状態を治すには、いかにして「神経の締め付け(万力)」を緩めてあげるかが痛みを解消するカギになります。

モートン病の主な症状

  • 足の指のつけ根あたりがズキッと刺されるように痛い
  • 歩くと足裏のつけ根が焼けるように熱く感じる
  • 足指の間にしびれやジンジンする違和感がある
  • 靴を脱いだり、足をマッサージすると少し楽になることがある

上記のような症状がある場合は、アスリートゴリラ鍼灸接骨院にご相談して下さい。

なぜ今、日本でモートン病が増えているのか

日本でモートン病が増えている理由は以下の2つに集約されます。

①「万力のハンドル」を回し過ぎている(靴のミスマッチ)

欧米化が進み、デザイン重視の細身な靴やヒール、あるいは自分の足の幅に合わない「狭い万力」の中に足を押し込む時間が長くなったためです。

②「万力の土台」が崩れている(足の筋力低下)

運動不足や舗装された平坦な道ばかりを歩くことで、足のアーチ(土台)が潰れ、骨という「口金」が常に閉じた状態になっています。その結果、少しの圧迫でもすぐに神経が締め上げられてしまうのです。

簡潔に説明すると「窮屈な靴という「万力」の中に、アーチが崩れて広がりやすくなった足を無理やり突っ込んでいるから」といえます。

モートン病の起こりやすい原因は「踵が浮いた姿勢」にあり

  • しゃがんだ時にかかとが浮いてしまう。
  • ヒールの高い靴で前足部に体重がかかることが多い
  • 長時間の歩行や立ち仕事
  • つま先が細く締め付ける靴をよく履く
  • 足のアーチの崩れや外反母趾がある

こうした要因で、足指の間を通る神経が圧迫され、炎症や腫れが起きやすくなります。

モートン病のほとんどの原因は「神経の圧迫」である

モートン病は、足の神経が圧迫されることで起こる絞扼性神経障害です。そのため、単に安静にするだけでは根本的な解決にはなりません。

重要なのは「なぜ神経が圧迫される状態になっているのか?」を明らかにすることです。ここでは、神経の圧迫が生まれるメカニズムを整理して解説します。

足の構造上、神経はもともと圧迫されやすい

実は足の付け根は、そもそも神経の圧迫が生まれやすい構造になっています。

足の付け根には、中足骨という5本の長い骨が並んでいます。この骨と骨の間を縫うようにして、指先へ向かう神経が通っています。特に中指と薬指の間(第3基節骨間)は隣り合う神経が合流して太くなっていることが多く、もともと「渋滞」が起きやすい非常にタイトな空間なのです。そこに3方向からの外力が加わることで、さらに強く神経に圧迫が加わります。

外力によって神経の圧迫が強まる

この狭い空間に対して、以下の3つの力が加わるとモートン病の症状が増大します。

横からの圧縮

横からの圧が加わると神経が圧迫されます。その代表例が、先の細い靴を履くなどの靴の問題です。先の細い靴を履くと、左右から中足骨がギュッと寄せられます。これにより、神経が通る隙間が物理的に消失します。

下からの突き上げ(床の衝撃)

地面からの突き上げ力も神経圧迫の原因です。歩行時、地面を蹴りだす瞬間に指の付け根が反り上がります。この時、神経は下から床に押し付けられ、上からは横中足靭帯(骨をつないでいるベルト)に挟み込まれます。

上からの剪断力

足のアーチが崩れていると、上からの剪断力も働きます。歩くたびに骨がバラバラな動きをし、その間に挟まった神経を「ハサミで切る」ような、あるいは「雑巾を絞る」ような摩擦力が加わります。

神経が分厚くなることでさらに圧迫力が強まる

前述の刺激が繰り返されると、ダメージを受けた神経は自分を守るために修復を繰り返し、次第に分厚く腫れ上がっていきます。これを「神経腫」と呼びます。

一度腫れて太くなると、さらに骨に挟まりやすくなるという負のスパイラルに陥ります。これが、靴を履いていないときでも違和感が出たり、一歩踏み出すだけで激痛が走ったりする理由です。

姿勢性の問題がさらに神経の圧迫を促進する

それ以外にも、姿勢性の問題がさらに神経の圧迫を促進することもあります。例えば、骨盤が後ろに倒れるような姿勢が習慣になっていると、モートン病が加速することがあります。

実際に当院に来院するモートン病の患者さんを調べたところ。立位体前屈で手のひらが床にピタッと着かない方ばかりでした。9割以上の患者さんがこの状態になっています。これは、太ももの裏(ハムストリングス)が短縮している状態です。この状態が続くとハムストリングスに引っ張られて骨盤が後傾します。

そして、骨盤が後傾すると、しゃがんだ時に踵が浮きやすくなります。骨盤が後傾するとしゃがんだ時に転ばないように踵を浮かせて、足先に体重をかけてバランスを取るようになるからです。踵が浮くと足全体で体重を支えられなくなるのがポイントです(かかと浮き現象)。

しゃがんだ時に踵が浮くと体重の約3〜5倍の負荷が足先に集中します。その状態が続くと足先に体重がかかり続けて足の横アーチが潰れてベタっとした状態の開張足になります。更に、足指もずっと背屈しているので浮指になります。開張足と浮指になると足の裏の筋力が使えなくなり足のアーチが崩れます。ここから更に偏平足になれば、硬い地面からの衝撃をもろに受けるようになり「神経の圧迫」が常に起こるようになります。

これが足の神経が圧迫されるメカニズムであり、モートン病の痛みが増大する原因です。

モートン病の3つのチェック方法

モートン病の3つのチェック方法についてまとめてみました。

①指で挟むテスト

足の甲側から、足裏側に向かって指の付け根の間をつまむように押して、痛みやしびれが出るかをみる方法です。

②足を横から押すテスト

前足部を左右からをギュッと握り押して、指先にピリッとした痛みやしびれが走るかを確認するテストです。

③指を反らせるテスト

痛みが出る側の足の指を反らせたり曲げたりして、症状が強く出るかどうかみるテストです。

モートン病は、神経が腫大(神経腫)になると大変なのでしっかりとチェックをして異常がある場合は、アスリートゴリラ鍼灸接骨院に来院して下さい。

モートン病になりやすい人の共通点は「かかと浮き」

モートン病の共通点は「かかと浮き」です。

「かかと浮き」とは、しゃがんだ時にしか現れない体の異常で踵が浮く状態のことです。

ハイヒールを履く女性、中腰・しゃがみ仕事の作業員、スポーツ愛好家に多いのが特徴です。

ハイヒールを履く女性

ハイヒールを履く女性は、常に「つま先立ち」で神経を酷使しているかかと浮きの方です。

中腰・しゃがみ仕事の作業員

中腰・しゃがみ仕事の作業員の方で、踵を浮かせてしゃがむ動作が、前足部を万力のように締め付けるかかと浮きの方です。

スポーツ愛好家

スポーツ愛好家の方も、テニスやランニングなど、前足部に急激な負荷がかかるかかと浮きの方です。

モートン病を改善するために特に注目すべき筋肉

モートン病を改善するために特に注目すべき筋肉は、ハムストリングス、腓腹筋、ヒラメ筋、後脛骨筋、長趾屈筋です。

ハムストリングス、腓腹筋、ヒラメ筋(触れる筋肉)

ハムストリングスは、太ももの裏側にあって、モートン病の「万力」の元になる骨盤後傾の原因の筋肉です。

腓腹筋とヒラメ筋は、ふくらはぎの表層の筋肉です。「第二の心臓」と言われる血流の要です。

モートン病の患者さんは、冷えやむくみを感じやすい方が多いです。

後脛骨筋、長趾屈筋(触れない筋肉)

筋肉は本のページのように層をなしているのですが、後脛骨筋、長趾屈筋は触れない筋肉です。

なぜなら、腓腹筋とヒラメ筋の深層にあるふくらはぎから足の裏の筋肉だからです。

後脛骨筋は、足のアーチに関与して弱化すると偏平足になります。足裏からの衝撃に関与している天然インソール筋肉です。

長趾屈筋は、脛骨後面下方2/3から第2~5趾の末節骨底にあるのですが触れない筋肉で特に中指と薬指の間(第3基節骨間)は隣り合う神経が合流して太くなっていることが多いモートン病の多発場所と一致する最重要筋肉です。

経験的にこの2つの筋肉の硬さを取り除き筋力強化させるのが重要です。

当院がモートン病を治療するために行っていること

当院がモートン病を治療するために行っていることは「電気療法」と「鍼治療」です。

電気療法

当院が電気療法を行う目的は「鎮痛効果」と「筋力強化」です。

鎮痛効果

筋肉、腱、神経の炎症を抑える目的で使用しています。

当院では、低周波、干渉波、立体動態波、超音波、微弱電流、ハイボルト電流などを使用しています。どうしてこんなにたくさんの種類の電気を完備しているのか。それにはちゃんとした理由があります。

その理由は、筋肉、腱、神経の効かせたい場所に適切なタイミングで適切な出力の効果を届けるには、それぞれに適した形状があるからです。モートン病のように、アプローチすべき組織が多岐に渡る場合に特に効果を発揮します。更に、触れない筋肉の後脛骨筋、長趾屈筋にもアプローチします。

例えば、当院では効果を最大限発揮するために、骨と骨の間を締め付けている横中足靭帯(骨をつないでいるベルト)の「万力」を緩めることなどもしています。

当院は、医療機器メーカーの伊藤超短波とテクノリンクに電気療法の講師を依頼された経験があります。モートン病の患者さんの痛みを緩和させるための、医療機器を選択する知識や使いこなす技術が当院にはあります。

筋力強化

足のアーチを支えるために筋力を鍛える目的で使用しています。

いくら炎症を取り除いても、日常の負荷に耐えられる強い筋力が無いと再発するからです。

モートン病の患者さんは痛くてスクワットなどの筋トレが出来ません。なので、電気療法で炎症を取り除くのと同時に筋肉を電気療法で動かして筋力を強化していくことが必要です。

アスリートゴリラ鍼灸接骨院は、炎症を取り除くだけでなく「日常の負荷に耐える足裏」を作ることも大事にしています。

鍼治療

当院の鍼治療の目的は「血流促進」です。

損傷した組織は血流が改善しないと修復に必要な栄養が届けられないからです。

足裏周辺は体の一番下にあり、心臓から遠いので、血液が滞りやすい部位です。

アスリートゴリラ鍼灸接骨院に来院するモートン病の患者さんは、血流が悪く、足に冷えやむくみを感じやすい方が多いです。

神経の炎症があると、その周囲の血流や代謝が悪くなりやすく、逆に血流が悪い状態が続くと回復もしにくくなります。その意味で「血流をよくすること」は、回復を助ける大事な要素の1つです。

鍼治療は、血流を良くする科学的根拠が確立されています。

鍼治療による血流改善のメカニズムには筋肉の緊張緩和、血管の拡張、自律神経の調整、鎮痛物質の分泌、身体の自然治癒力活性化、酸素供給と老廃物除去があります。

筋肉の緊張緩和

固まった筋肉が血管を圧迫し血流を悪化させるが、鍼で筋肉がほぐれ血流が促進します。

血管の拡張

鍼刺激により血管拡張作用のあるCGRPなどの物質が増加し血管が広がります。

自律神経の調整

鍼刺激により副交感神経が活性化されリラックス状態になり血流が回復します。

鎮痛物質の分泌

鍼刺激によりエンドルフィンやセロトニンなどの鎮痛物質が分泌され血管が拡張されます。

身体の自然治癒力活性化

鍼刺激により身体の回復メカニズムを促進し血流の改善につながります。

酸素供給と老廃物除去

鍼刺激により血流改善し酸素供給が増え、老廃物排出が促進され疲労回復を促します。

モートン病に関するよくある質問

モートン病に関するよくある質問をまとめてみました。

モートン病の初期症状はなんでしょうか?

モートン病の初期症には、足の付け根当たりの(特に第3・4趾の間)の軽い痛みや違和感、しびれやジンジン感や靴を履いた時だけ悪化などを訴えてくる患者さんが多いです。

指の間に小石が挟まっているような、何かが挟まっているような感覚と訴えてくる方もいます。

モートン病を放置するとどうなりますか?

モートン病を放置すると次のような変化が起こることがあります。

  • 痛みやしびれが「歩いたときだけ」から「じっとしていても」でるようになります。
  • 痛みの回数や時間が増え、痛み止めが効きにくくなることがあります。
  • 神経の炎症が長引くと、慢性的な神経障害のような状態になり、違和感が続きやすくなります。

このような状況になる前にアスリートゴリラ鍼灸接骨院に相談をして下さい。

モートン病に足裏のパッドは有効ですか?

足裏のパッドで完治するというよりは、痛みを軽くして日常生活をしやすくするという意味では有効です。中足骨パッドやインソール一体型などがありますが市販のものでも合う人はいますが、位置が数ミリずれるだけでかえって痛みが増える事もあるので注意が必要です。当院の患者さんでインソール一体型で硬いのを購入した足裏の皮膚が痛くなった方がいます。最初は、柔らかいものがおすすめです。

モートン病の原因は歩きすぎですか?

モートン病の原因は、前足部の圧迫が原因です。歩き過ぎそのものが「唯一の原因」というより先が細い靴やヒールでの圧迫、長時間の立ち仕事や中腰、歩行で前足部に負担が集中するなどが原因です。体重増加なども原因です。

モートン病になったらやってはいけないことはありますか?

モートン病になったら、ハイヒールや先の細い靴を履くこと、長時間の立ち仕事、歩行、ジャンプやダッシュなど足裏に強い衝撃がかかる運動は避け、痛みを我慢して歩き続けないことが重要です。

長時間のしゃがんだ状態の時に踏み台を使用しないのもやってはいけません。

いつか治ると我慢をして専門家に相談しない事もやってはいけません。

モートン病の方におすすめのストレッチはありますか?

モートン病の方におすすめのストレッチは、ハムストリングスのストレッチです。なぜなら、骨盤が後傾するとしゃがんだ時にかかとが浮いて前足部に負担が働くからです。

「まずはこの5秒の体操で、骨盤の傾きをチェックしてみてください」

ハムストリングスが疲れて短縮している方には、当院では「骨盤起こしストレッチ」を指導しています。雪印メグミルク「かんたん骨体操」でも動画になっていますのでご覧になってください。

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高林 孝光
執筆者 高林 孝光

アスリートゴリラ鍼灸接骨院院長。1978年東京都生まれ。
はり師・きゅう師・柔道整復師の資格をもつ。「痛みには必ず原因がある」の治療理念のもと、延べ10万人以上を施術。バレーボールのJOCジュニアオリンピックカップ東京代表トレーナー、車椅子ソフトボール日本代表のチーフトレーナーを務めるなど多くのアスリートの治療実績をもつ。アスリートに最大限のパフォーマンスを発揮させる「運動機能評論家」。体調に不安を抱える人のほとんどがしゃがんだ時にかかとが浮いてしまう「かかと浮き現象」を日本で初めて発見。雪印メグミルクの「かんたん骨(コツ)体操」の考案・指導者。産経新聞「サクラス」の健康情報の連載記事監修。よみうりカルチャー北千住講師。主な著書に「しゃがめない人は不健康になる」(自由国民社)、「足が速くなる解剖図鑑」(エクスナレッジ)、「身長は伸びる」(自由国民社)などがある。

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