下肢(股、膝、足など)

オスグッド病(オスグッド・シュラッター病)

高林 孝光
監修者 高林 孝光
オスグッド病(オスグッド・シュラッター病)

オスグッド病(オスグッドシュラッター病)とは

オスグッド病とは、脛骨結節と呼ばれる膝のお皿の下の骨に痛みが生じるものです。

オスグッド病は、正式には「オスグッド・シュラッター病」と呼ばれ、小学生高学年から中学生にかけての成長期に多く見られます。スポーツ障害の一つです。

オスグッド病の原因

オスグッド病の原因は、大腿四頭筋の付着部の炎症です。

大腿四頭筋とは、太ももの前の筋肉で、膝のお皿の下にある骨(脛骨粗面)に付着しています。大腿四頭筋を繰り返し使うことで、脛骨粗面が引っ張られ、骨が隆起したり炎症を起こしたりします。これがオスグッドになる原因です。

ただし重要なのは、それが起きてしまう原因をさらに追求することです。

結論から言えば、当院での経験ではオスグッドの本当の原因が、ハムストリングスの短縮だと結論づけています。

ハムストリングスとは、太ももの裏側の筋肉の総称です。

さきほどお伝えした、大腿四頭筋が太ももの前、ハムストリングスが太ももの後ろを考えてください。

つまり、後ろのハムストリングスが短縮すると、前の大腿四頭筋が引っ張られる格好になります。それが脛骨粗面を引っ張る原因となり、オスグッドへと発展してしまうのです。

実際に、当院がオスグッドの患者の運動機能を調べてきたところ、立位体前屈で手のひらが床にピタッと着かない方がほとんどでした。

つまり、立位体前屈で手のひらが床にピタッと着かない人は、太ももの裏側の筋肉(ハムストリングス)が短縮していて、骨盤が後ろに倒れてしまう骨盤後傾を起こしていることが判明したのです

以上の理由から、オスグッドの原因は、単に大腿四頭筋の使いすぎではなく、ハムストリングスの短縮や骨盤後傾であると言えます。

オスグッド病の症状

オスグッド病の主な症状は次の5つです。

  • 膝の下あたりにある脛骨粗面に痛みや腫れ、熱感がある。
  • 運動中に膝の周りがズキズキ痛む。
  • 膝を動かすと痛みが生じる(特にスクワット動作のような膝を曲げる動作)
  • ひどい場合は歩行が困難になることがある。
  • 膝のお皿の下の骨が出っ張ってくることがある。

いずれかが当てはまる場合は、オスグッド病を疑っていいでしょう。

オスグッドと成長痛の違い

オスグッドと成長痛の違いは次の通りです。

項目 オスグッド病 成長痛
原因 スポーツに起因 明確な原因はわからない
症状 膝の特定の箇所に痛みや腫れ、骨の隆起が見られる 夕方や夜間に痛みが生じ、短時間で痛みが治まることが多い

オスグッド病は、サッカーやバスケなどのスポーツに起因して発症するのが特徴です。

オスグッド病の好発年齢

オスグッドの好発年齢は、10歳から15歳くらいの成長期の子供です。

特にスポーツをする男子に好発する傾向があります。特にストレッチが苦手な男子に多い傾向があります。

オスグッド病は、年齢だけでなく骨の成長具合(骨年齢)によって発症のタイミングが異なります。例えば、男女で比較すると次のような傾向があります。

  • 男子:10~14歳に多く、特に13歳前後が発育の急進期にあたります。
  • 女子:男子より1~2年早く発症する傾向があり、11歳前後が発育の急進期です。

オスグッド病の検査法

あなたが、自身でオスグッド病かどうか判断したいのであれば、次の3つの検査法を試してみてください。

どれか一つでも当てはまればオスグッドの可能性があります。

検査法①:圧痛確認(押したら痛むかチェック)

膝の骨(脛骨粗面)を押してみてください。

ここを押して痛ければ、オスグッド病の可能性が高いです。

一方で、膝の靭帯(膝蓋靭帯)を押して痛い場合は、オスグッド病ではなく膝蓋靭帯炎(ジャンパー膝)の可能性があります。

オスグッド病と膝蓋靭帯炎(ジャンパー膝)は、痛みが出る箇所が近接しているため、よく混同されやすいです。痛みが出る場所の違いをしっかり確認していきましょう。

検査法②:見た目確認(骨の出っ張りがあるかチェック)

膝下の脛骨粗面に、ポコッとした骨の出っ張りがあるか確認して下さい。

※どれくらいの出っ張りか?軽症、中等度、重症度のような表を掲載する。(○mm程度出ていれば・・みたいな)

当院には、様々な骨が出っ張ったオスグッドの方に質問されるので以下のような表を目安としました。

突出 状態
0〜2mm 軽度
3〜5mm 中等度
6mm以上 重度

重要なポイントとして、突出の大きさ=重症度とは限りません。理由は以下の通りです。

  1. 痛みは炎症の程度で決まる
  2. 突出が大きくても痛みゼロの人も多い
  3. 小さくても痛い人もいる

検査法③:運動痛確認(膝を曲げて痛いかチェック)

しゃがんで痛みが出るか確認して下さい。

オスグッド病は屈伸できない子が多いです。膝が屈伸すると強い痛みが生じるからです。

また、同じように正座が出来るか確認して下さい。

しゃがむのと同様に、膝を曲げる動きを確かめる検査です。正座で痛みが出たり、痛くて正座できない場合はオスグッド病を疑います。

オスグッド病で早くスポーツ復帰したいあなたに向けたアドバイス

オスグッド病で辛いのは、思うようにスポーツができないことですよね。

当院では、だいたい年間に100名ほどのオスグッド病の患者さんがいらっしゃいます。それほど多くの患者さんを相手に、当院で治療やアドバイスを提供し、真面目にストレッチ等をやってくれた患者さんはだいたい2〜3週間ほどで、立位体前屈で手のひらが床にぴたっと付けられるほどに変化し、実際にスポーツに復帰しています。

以下で紹介するのは、早くスポーツ復帰するためのアドバイスです。順番に見ていきましょう。

炎症が強い場合は安静にしましょう

もし、炎症が強い場合は、できる限り膝の負担を抑えましょう。

炎症期である発症直後(24時間~48時間以内)は安静にしないと、状況が悪化し痛みが長引く可能性があるためです。

炎症の判断は、患部の熱を確認しましょう。

同じ手のひらを、太ももの前と患部(脛骨粗面)に当ててみましょう。それぞれの温度が同じくらいであれば、炎症が起きていると判断していいでしょう。なぜなら、通常であれば筋肉の方が温度が高く、膝の温度が同等になることはないはずだからです。

以上の確認をもって炎症が確認できた場合は、以下の通り対応しましょう。

  • 運動を一時的に休止し、膝に負担をかけないように休息しましょう。
  • ひざを曲げると痛みが出るので、膝を伸ばしながら安静にしましょう。
  • 冷却することで、痛みや炎症を抑える効果があるので膝のお皿の下や周辺を氷で冷やしましょう。

この行動をとるだけで膝の負担が軽減されます。

膝を曲げる運動は極力控えよう

炎症が抑えられたからといって、膝を曲げるような運動を繰り返してはいけません。できる限り、膝を曲げる運動は控えましょう。特にスクワットなどのような膝を曲げる筋トレはやめて下さい。

そうはいっても、どうしても運動をしたい子も多いでしょう。

大事なポイントは膝を曲げないことです。つまり膝を曲げないように運動すれば、オスグッド病の負荷を抑えることは可能です。

そこで当院が推奨したいのが「運動中は腰を高く構える」ということです。

サッカー、バスケ、バレー、野球(キャッチャー)、剣道、ソフトボール、ソフトテニスなどオスグッドになりやすいスポーツで共通する指導方法が「腰を低くして構えなさい」です。きっと普段からそう指導されていますよね?ところが、腰を低く構えれば、当然膝を曲げることになります。つまりオスグッドが悪化してしまいます。

なので当院では腰を低くする必要がない時は「腰を高くして構えなさい」とアドバイスしています。もしどうしても運動をしたいのであればこのアドバイスを試して欲しいと思います。

大腿部の緊張を緩めよう

オスグッドの痛みを緩和するためには、大腿部の緊張を緩めるのが効果的です。ただ、やり方を間違えると逆効果です。太ももの前と後の筋肉では、オスグッドに対する影響が異なるからです。

項目 太ももの前(大腿四頭筋) 太ももの後(ハムストリングス)
ストレッチ ×
マッサージ

重要なのは、太ももの後(ハムストリングス)をストレッチすることです。反対に、太ももの前(大腿四頭筋)をストレッチしてはいけません。なぜなら、ストレッチする格好が、膝を曲げるのを強制してしまうからです。つまり痛みが出る方向に動かすのはNGです。

ハムストリングスをストレッチしよう

太ももの後(ハムストリングス)をストレッチしましょう。ハムストリングスの緊張は骨盤を後傾させ、大腿四頭筋を引っ張る方向に働いてしまうからです。ハムストリングスをストレッチすれば、それを緩和させることにつながります。

簡単なものは、お風呂に入って筋肉を温めた後に、長座をして体をお腹側に倒すとハムストリングのストレッチになります。

オスグッドにおけるハムストリングスのストレッチ

以下は当院が推奨しているハムストリングスのストレッチ手順です。

オスグッドにおけるハムストリングスのストレッチ(椅子使用)

  1. 足をそろえて立ち、前屈をして手の指がどこまで届くかを確認する(このとき、膝を曲げないように注意すること)
  2. イスに浅く腰かけて両足をそろえる
  3. 上体を倒してお腹と太ももをつけ、両手を膝の下に回して足をかかえる
  4. お尻をイスから浮かせた状態で膝を伸ばして10秒キープする(このとき、お腹と太ももが離れないように注意すること)
  5. 再び1.を行い、柔軟性を確認する

大腿四頭筋とハムストリングスをマッサージしよう

大腿四頭筋はストレッチはNGですがマッサージはOKです。大腿四頭筋とハムストリングスの両方をマッサージしましょう。これによって膝の下の脛骨粗面を引っ張る緊張が取れます。どちらか片方の筋肉の硬さを取るだけでなく、同時に太ももの前と後ろをマッサージするのがポイントです。

なお、オスグッド病の出っ張っている部分(患部)をマッサージしてはいけません。あくまでも狙うのは筋肉です。痛みが出ている患部をマッサージすると悪化してしまうので注意が必要です。

当院でのオスグッド病の治し方

当院では、単純に筋肉の固さを取り除くだけでなく、「強い筋肉に変える」という趣旨で治療を行っています。そうしないとオスグッド病が再発してしまう可能性があるからです。そのための順序があります。それぞれ解説していきます。

ポンピングで大腿四頭筋とハムストリングスの緊張を取る

当院では、先ずは、総合刺激装置を使ってポンピングを行います。使用する機器は主に、伊藤超短波株式会社のES-530、ES-8000、ES-5000です。これによって、脛骨粗面を引っ張っている大腿四頭筋と、骨盤後傾の原因を作っているハムストリングスの緊張を取り除きます。

ポンピングを行うと、筋肉をポンプのように収縮、弛緩させ、筋肉の緊張をほぐし血行を促進させるのと同時に、痛みの物質の除去といった効果につながります。

では、なぜわざわざ医療機器を使用するのでしょうか?

それは、大腿四頭筋の一部は、手で触れることができないからです。

マッサージをしても届かない筋肉には、こういった医療機器を使用するのが望ましいのです。

そもそも大腿四頭筋は4つの筋肉に分かれます。

  • 大腿直筋
  • 内側広筋
  • 外側広筋
  • 中間広筋

このうち、中間広筋は大腿直筋の深層に位置しているため手で触れることができません。医療機器を使用しないと筋肉の緊張を取るのは困難です。

立体動態波などで患部の痛みを取る

立体動態波とは、3つの異なる方向から流れる中周波電流を体内で干渉させ、身体の深部にある筋肉や神経、関節などに立体的にアプローチする電気療法です。

従来の電気治療では届きにくかった深部への刺激を可能にし、鎮痛効果やトレーニング効果、関節可動域の改善などが期待できます。

立体動態波も前述した医療機器を使用します。

立体動態波には筋肉の緊張を取り除く効果だけでなく、患部の痛みを取り除く効果もあります。直接患部に当てて治療します。当院では立体動態波だけでなく、ハイボルトを使用して深部まで刺激を与えて鎮痛効果を促します。

微弱電流(マイクロカレント)を流して組織の修復を促進する

最後に行うのが修復のための治療です。

いくら痛みをとっても組織の修復が行われなければ治療とは言えません。

微弱電流(マイクロカレント)を流して、痛みや腫れの軽減、組織の修復促進を促します。微弱電流(マイクロカレント)とは、生体電流に近いごく弱い電流です。細胞レベルでの修復や活性化を促し、自然治癒力を高める効果が期待できます。

オスグッド病に関するよくある質問

当院に寄せられる、オスグッド病に関する質問にお応えします。

サポーターを使った方がいいですか?

できれば使った方がいいです。

オスグッド病に対して「サポーター」だけでなく「オスグッドバンド」があります。どちらも膝への負担を軽減し、痛みを和らげる目的で使用されます。それぞれの違いを理解した上で使うことをお勧めします。

オスグッドサポーター

膝全体を覆うタイプや膝蓋骨周辺を広範囲にサポートするタイプなど、様々な形状があります。

特徴:膝蓋靭帯を含む膝関節全体、痛みの軽減、再発防止、運動中の負担軽減

オスグッドバンド

膝のお皿の下(膝蓋靭帯の部分)をピンポイントで圧迫・固定するバンド状のものです。

特徴:膝蓋靭帯への圧迫、痛みの緩和、膝の動きを妨げない

なお、当院ではサポーターやバンドは快適さで選択してもらっています。運動時のみ使用が原則です。

テーピングはどうですか?

テーピングも使ってみるといいでしょう。

オスグッド病に対するテーピングは、痛みの緩和や運動時の膝のサポートに役立ちます。ただしあくまで補助が目的だと考えて下さい。当院では、大腿四頭筋の引っ張りを抑える目的でテーピングを使用する場合があります。

オスグッドになると身長が伸びなくなるって本当?

オスグッドの痛みによって、膝関節を曲げ伸ばし出来ない時間が続くと身長にはマイナスです。

なぜなら、身長の成長を促すには、関節の軟骨に十分な栄養を届ける必要があり、膝の痛みによって運動が抑えられると、栄養を届ける機能を抑えてしまうことに繋がるからです。

身長が伸びるメカニズムを簡単に説明すると、関節を曲げたり、伸ばしたり、ひねったりすると関節液が出て、成長軟骨に栄養が行き渡って骨の成長を促進します。つまり身長を伸ばすには運動が重要で、痛みによって運動が制限されるとマイナスに働くということです。

なお、当院では「身長は伸びる!」(自由国民社)という本を出版しているので、身長の事はかなり調べています。

オスグッドは冷やす温めるどっちがよいですか?

受傷直後の急性症状の時期(受傷直後から72時間以内)は温めないで下さい。損傷が悪化したり、回復が遅れる可能性があるからです。

どうしても判断に迷う場合は、お風呂に入ってみてください。お風呂に入って調子が良ければ温めて下さい。お風呂に入って調子が悪い場合は温めないで下さい。これが一番簡単な温めても良いかを判断する方法です。

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高林 孝光
執筆者 高林 孝光

アスリートゴリラ鍼灸接骨院院長。1978年東京都生まれ。
はり師・きゅう師・柔道整復師の資格をもつ。「痛みには必ず原因がある」の治療理念のもと、延べ10万人以上を施術。バレーボールのJOCジュニアオリンピックカップ東京代表トレーナー、車椅子ソフトボール日本代表のチーフトレーナーを務めるなど多くのアスリートの治療実績をもつ。アスリートに最大限のパフォーマンスを発揮させる「運動機能評論家」。体調に不安を抱える人のほとんどがしゃがんだ時にかかとが浮いてしまう「かかと浮き現象」を日本で初めて発見。雪印メグミルクの「かんたん骨(コツ)体操」の考案・指導者。産経新聞「サクラス」の健康情報の連載記事監修。よみうりカルチャー北千住講師。主な著書に「しゃがめない人は不健康になる」(自由国民社)、「足が速くなる解剖図鑑」(エクスナレッジ)、「身長は伸びる」(自由国民社)などがある。

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